4,力と俊敏性を高めるトレーニング法|試合で“キレのある動き”を手に入れる!
スポーツにおける勝負のカギを握るのが「一瞬のスピードと反応」です。
スタートダッシュ、ジャンプ、ターン、切り返し――
これらの場面で相手を出し抜くには、「爆発力」と「俊敏性」が欠かせません。
この記事では、その能力を鍛えるための具体的なトレーニング方法を3つの視点から解説します。
1. プライオメトリクス(ジャンプトレーニング)の導入
プライオメトリクスとは、短時間で大きな力を発揮する能力(=パワー)を高めるためのトレーニング法です。
筋肉が「伸びた直後に素早く縮む」反射的な動きを利用して、爆発的な力を鍛えます。

代表的なトレーニング
- ジャンプスクワット
しゃがんだ姿勢から高くジャンプ。着地時は静かに、ひざを柔らかく使う。
- ボックスジャンプ
台の上にジャンプして乗る。下半身の瞬発力、空中での姿勢コントロール力が鍛えられる。
- バウンディング
大股で走るような跳ねる動作を繰り返し、地面を強く蹴る力を養う。
- メディシンボールスロー
重いボールを胸や頭の後ろから前方へ投げる。上半身の爆発力トレーニングとして有効。
ポイント
- 動作は常に「速く」「高く」「正確に」
- 回数よりも「質」を重視
- 週1〜2回、十分な休息日を設ける
プライオメトリクスは、ジャンプ力、加速、キレのある動きの土台になります。過度な頻度はケガにつながるため、正しいフォームと回復を意識して取り組みましょう。
2. スプリント系筋力強化
俊敏性を発揮するには、「ただ速く走る」だけでなく、「走るための筋力」を高めることが大切です。
特に鍛えるべきは、ハムストリングス(もも裏)・臀部(お尻)・腸腰筋(股関節)・ふくらはぎの4つ。

おすすめトレーニング
- スプリント(ダッシュ)反復
10〜30メートルの短距離ダッシュを数本繰り返す。全力で走る→完全休息を徹底。
- 坂道ダッシュ
上り坂を使って負荷を加えたダッシュ。力強い地面の蹴り出しが養われる。
- バウンスラン(弾むように走る)
着地反発を意識しながら走ることで、筋力と神経の連動性が向上。
- レッグドライブ系筋トレ
ヒップスラスト(ヒップリフトの動作で、お腹の上にバーベルを乗せるトレーニング)、スプリットスクワット、クリーンなど、加速に必要な筋肉を鍛える。
ポイント
- 疲労が溜まりすぎるとフォームが崩れるため、本数を絞って質を重視
- ダッシュ後は軽いストレッチやジョグでクールダウン
スプリントトレーニングは、「反応」「爆発」「加速」をすべて含む万能な要素です。競技に関係なく取り入れる価値があります。
3. 筋出力スピードを上げるには?
筋肉の「出力スピード」とは、どれだけ素早く力を発揮できるかを示す指標です。
これは、単純に筋力を上げるだけでなく、神経と筋肉の連携を高めることが重要になります。
鍛える方法
- スピードトレーニング
ジャンプスクワットやバーベルクリーンなど、素早い動作を意識した筋トレが効果的。
- スピードコントロール反復
同じ動作でも「速く行う」「遅く行う」を繰り返し、筋肉の調整力を養う。
- 軽負荷×高速度の反復
重すぎるウェイトではなく、軽めの負荷で一気にスピードを上げて動くことで、神経の発火速度を鍛える。

☘️トレーニング例
- クリーン&プレス
- メディシンボール投げ(前方・真上)
- スピードランジ
- ラダートレーニング(敏捷性ドリル)
これらのトレーニングでは、反復回数よりも「どれだけ速く・正確に動作できるか」が鍵になります。
☘️【クリーン&プレスとは?】
クリーン&プレスは、バーベルやダンベルを床から肩まで持ち上げ(クリーン)、そのまま頭上まで押し上げる(プレス)という全身を使うトレーニングです。
筋力・パワー・瞬発力・心肺機能まで同時に鍛えることができ、競技力アップや脂肪燃焼にも非常に効果的です。
クリーン&プレスのやり方(バーベルの場合)
① セットアップ
- 足は肩幅に開き、バーベルは足の真上に置く。
- 両手で肩幅やや広めにバーベルを握る(オーバーグリップ)。
② クリーン(床から肩へ)
- 背中を丸めず、膝と股関節を伸ばしてバーベルを一気に持ち上げる。
- 肘を前に突き出すようにして、バーベルを肩の高さまで引き寄せる。
③ プレス(肩から頭上へ)
- 足を踏ん張り、頭上にまっすぐバーベルを押し上げる。
- 肘を伸ばしきってフィニッシュ。
④ コントロールして戻す
- 逆の手順で肩→太もも→床へと戻す。
鍛えられる部位
- 下半身:ハムストリング、大臀筋、大腿四頭筋(床からの引き上げ)
- 体幹:腹筋、背筋(姿勢安定)
- 上半身:肩(三角筋)、腕(上腕三頭筋)、僧帽筋(引き寄せ・プレス)
ポイントと注意点
- 背中は常にまっすぐ。腰が丸まらないように注意
- 動作は素早く、でもコントロールして行う
- 重量は軽めからフォームを習得してから徐々に上げる
- 肩や腰に違和感があれば、すぐに中止すること
クリーン&プレスはこんな人におすすめ
- スポーツ選手(瞬発力・全身連動性アップ)
- 筋力と持久力を同時に高めたい方
- 短時間で効率よく全身を鍛えたい方
フォームを正しく守れば、非常にパワフルで効率の良いトレーニングです。ダンベルでも代用できますので、ホームトレーニングにも適しています。
☘️【メディシンボール投げ(前方・真上)のやり方とポイント】
● 目的:
全身の爆発的パワーと連動性、特に体幹・肩・腕・脚の瞬発力を強化します。スポーツ競技のスプリントやジャンプ、投擲動作に効果的です。
【前方投げのやり方】
- 足を肩幅に開いて立つ
- 両手でボールを胸の前に構える
- 下半身で踏ん張りながら、上体を素早く伸展させて前方に強く投げる
- 投げた後、重心が前に流れすぎないようバランスを保つ
▶ 効果:主に胸・肩・体幹・下半身の連動性とパワー強化
【真上投げのやり方】
- まっすぐ立ち、ボールを頭の後ろまで構える
- 膝と股関節を使って反動をつけ、頭上に向けて一気に投げ上げる
- 投げ終えたら、真上に飛び上がるような勢いでフィニッシュ
▶ 効果:爆発力、ジャンプ力、全身の瞬発的筋力アップに効果的
ワンポイントアドバイス:
- 呼吸は、投げる瞬間に「フッ」と強く吐く
- 重すぎるボールは避け、スピード重視で
- 安全のため周囲のスペースを確保して行う
短時間で高強度のトレーニングが可能なため、ウォーミングアップの後や、筋力トレーニングの仕上げにもおすすめです。競技力向上に直結する非常に効果的なトレーニングです。
☘️【スピードランジのやり方と効果】
● 目的
脚力・俊敏性・バランス能力を同時に鍛える、瞬発力系のトレーニングです。スポーツ競技の方向転換やダッシュに役立ちます。
● やり方
- 足を揃えて直立
- 片足を前に大きく踏み出し、すばやく腰を落とす(膝は90度を意識)
- すぐに元の姿勢に戻って、逆足で繰り返す
- リズムよく左右交互にテンポよく動く(15~30秒ほど)
● ポイント
- 上半身はまっすぐ、目線は前方
- 前足のかかとで踏ん張るように意識する
- 膝がつま先より前に出すぎないよう注意
- 音楽に合わせて行うとテンポがつかみやすい
● 効果
- 短時間で太もも・お尻・体幹を強化
- 心拍数も上がるので脂肪燃焼にも効果あり
- 機敏なフットワークを養いたいスポーツ選手にも最適
無理のない回数から始めて、テンポや可動域を意識してフォームを丁寧に行うことがポイントです。
☘️【ラダートレーニング(敏捷性ドリル)とは?】
ラダートレーニングとは、地面に置いたラダー(はしご状のツール)を使って素早いステップや方向転換の動作を反復するトレーニングです。
● 主な目的
- 俊敏性(アジリティ)向上
- ステップの速さ・正確さをアップ
- 反応速度とリズム感覚を養う
- 足元のコントロールやケガ予防にも効果的
● 基本的なやり方(例:イン・アウト)
- ラダーの1マス目に両足で入る
- 次のマスで両足を外に出す
- また次のマスで両足を中に入れる
- これをテンポよく繰り返し前進する
ほかにも「サイドステップ」「ツイスト」「ケンケン」など、様々な動作を取り入れることで刺激が変わります。
● ポイント
- 頭は上下に動かさず、体幹を安定させる
- 足だけでなく全身の連動性を意識する
- 初めはゆっくり、慣れてきたらスピードを上げる
● 対象者
サッカー、バスケットボール、テニス、陸上など、スピードや機敏さが求められる競技の選手全般におすすめです。
日常的なトレーニングに取り入れることで、動きのキレや瞬発的な反応力が大きく向上します。継続することでパフォーマンスの土台がしっかり育ちます。
まとめ|“爆発する動き”は鍛えられる!
爆発力と俊敏性を高めたいなら、次の3つのアプローチが必要です。
- プライオメトリクスで瞬間的な力の発揮を習得
- スプリントトレーニングで地面への力の伝達を高める
- スピード系筋トレで筋肉と神経の連携を鍛える

筋トレだけでは補えない「スピード」「瞬発力」は、正しい方法でトレーニングすることで確実に伸ばせます。
練習に1つでも取り入れるだけで、試合での動きが見違えるはずです。