「寝ても疲れが抜けない…」
「運動してないのに、だるい」
「なぜかイライラする。でも理由がわからない」
そんな声、最近本当によく耳にします。
実際、私の接骨院にも「体の痛み」というより「なんとなく不調」「心が重い」状態で来院する方が増えてきました。
原因はひとつではありませんが、「メンタル疲労」と「フィジカル疲労」がごちゃまぜになってしまっていることが、本質的な“回復の遅れ”を引き起こしているケースが多いんです。

🧍♂️フィジカル疲労:体が「助けて」と叫ぶとき
フィジカル疲労、つまり肉体的な疲れ。これはわかりやすい。
・長時間の立ち仕事で足が棒のようになる
・スポーツの後、筋肉痛が何日も残る
・寝起きに首や腰がバキバキに固まっている

これらは明確に「体の使いすぎ」「回復の不足」が原因です。
ある日の話。高校バスケ部の男子が「最近ジャンプ力が落ちて、膝も痛くて…」と相談に来た。
聞けば、休日返上で部活+自主練、さらに深夜まで勉強またはスマホで動画。食事は肉中心の食事、睡眠は5時間。
そりゃあ疲れも取れない。
この場合は「体に疲れが溜まっている」=フィジカル疲労。休息、栄養、睡眠、この3つを整えれば徐々に回復する。
でも、やっかいなのは次のタイプ。
🧠メンタル疲労:見えない“脳の筋肉痛”
私自身も経験があります。
数年前、トレーナー活動と接骨院業務、さらに往診と健康体操教室が重なり、1日10時間以上しゃべりっぱなしの毎日が続いたんです。
帰宅後もデスクに向かってブログ執筆や教材作成。体は動かしてないのに、夜になるとグッタリ。
しかも、夜中に目が覚める。朝は寝起きが最悪。肩がこる。頭が回らない。なのに検査しても異常なし。
「これは…脳が過労だ」
とようやく気づいたのが、ある朝、シェービングジェルを整髪ジェルと間違えて髪に付けた時でした(今日はなかなか固まらないなーと感じた)。
メンタル疲労は、筋肉や関節にサインが出ない分、見逃されやすい。
でも確実に、
・集中力が落ちる
・イライラが増える
・姿勢が崩れる
・呼吸が浅くなる
・免疫力が下がる
といった形で、身体に“影響”を出してきます。

🧪メンタルとフィジカル、どう見分ける?
「今、自分がどっちの疲れか」
それを判断する目安は意外とシンプル。
疲労の種類 | 主な特徴 | 休んだ時の反応 |
フィジカル | 体が重い、筋肉が張る、痛い | しっかり寝ればラクになる |
メンタル | 頭がボーッとする、理由なくイライラ、意欲低下 | 寝てもスッキリしない、考えすぎて眠れない |

ある50代の営業職の患者さん。「肩こりがつらい」と通院していたが、よくよく聞いてみると、原因は“人間関係によるストレス”でした。
「最近、上司が変わってから職場の空気がピリピリしてて…」とポツリ。
マッサージやストレッチだけで改善しなかったのは当然。疲れていたのは“体”ではなく“心”だったから。
🛌回復アプローチがまるで違う
同じ「疲労」でも、ケアの仕方は変わってきます。
✅ フィジカル疲労には…
・軽い運動(ウォーキングやストレッチ)
・高たんぱく+ビタミン豊富な食事
・ぬるめの入浴と睡眠の質向上

とにかく「血流」と「修復」がキーワード。
特に高齢者の場合、運動不足で回復力が落ちやすいので、「動いて疲れる→寝て回復」のサイクルを意識的に作るのが大切です。
私のスポーツ教室でも、筋トレの後に必ず「横になって深呼吸タイム」を入れています。これ、案外みんな「癒される〜」って言います(笑)
✅ メンタル疲労には…
・情報を減らす(スマホ断ち)
・自然との接触(公園を歩く、土いじり)
・“何もしない”時間をあえて作る
・誰かに「話す」

これ、めちゃくちゃ効きます。
一番効果があったのは、ある往診患者さんの家にあった“金魚”を眺める時間。
呼吸がゆっくりになって、表情も和らぎ、夜の寝つきも改善したという報告を受けました。
私も最近、昼休みに「窓を開けて空を見る時間」を10分つくっています。正直、たったそれだけで脳のリセット感がぜんぜん違う。
⚠️「メンタル疲労がフィジカル不調に化ける」ことも…
ここが一番こわいところ。
長く続いたメンタル疲労は、
→ 胃腸の不調
→ 慢性的な頭痛
→ 肩こり・腰痛
→ 免疫力の低下
という“形のある症状”として現れてきます。

つまり、メンタル疲労は「姿を変えて体に出てくる」んです。
なので、「原因がはっきりしない不調」が続くときほど、“心の疲れ”を疑ってみてください。
☕️おわりに:「何に疲れてるのか」に気づくことから始まる
疲れには、体の声と心の声、両方があります。
どちらも無視してはいけません。むしろ、それぞれに合ったケアをしてあげることが、真の「回復」への第一歩。
「今日は動きすぎたな」→温めて、ゆっくり寝る。
「なんだか心が疲れてる」→誰かと話す。スマホを置く。空を見る。
そんな“微調整”が、明日のあなたの元気をつくります。
身体の疲れには筋肉が叫びます。心の疲れには“無言”がついてきます。
その静かな声を、聞き逃さないでください。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市