「先生、最近つまずくことが増えて不安なんです」
高齢者の運動教室でよく耳にする言葉です。実際に転倒は骨折や寝たきりにつながるリスクがあり、接骨院に来院される患者さんの中にも「転んだあとから調子が崩れた」という方が少なくありません。
たとえば転倒して、股関節の骨折。尻もちをついて背骨の骨折(脊柱の圧迫骨折)などが代表的なケガです。
でも安心してください。特別な器具やジムに通わなくても、自宅でできるシンプルな運動で“転ばない体”は作れます。ここでは、私が指導してきた高齢者教室やスポーツ現場での体験も交えながら、バランス力を鍛えるトレーニングをご紹介します。
転倒予防になぜバランス力が必要なのか
バランス感覚とは「体を傾けたときに姿勢を立て直す力」。加齢とともに筋力や感覚が衰えると、ちょっとした段差や振り向き動作で体勢を崩しやすくなります。
特に以下の3つの要素が弱まると転倒リスクが高まります。
- 下肢の筋力 … 太ももやふくらはぎの筋肉が弱いと踏ん張れない。
- 体幹の安定性 … お腹や背中の筋肉が緩むと姿勢が崩れる。
- 感覚の反応速度 … 足裏や耳の平衡感覚が鈍ると、反応が遅れる。
患者さんの中でも、腰や膝の痛みがある人は自然と歩幅が狭くなり、バランスを崩すリスクが増えます。実際に私は、骨盤が後ろに倒れた姿勢で椅子に長く座る方ほど、立ち上がりや方向転換が苦手なことを現場で実感しています。
基礎から応用までの9種類をご紹介します。
基礎編(まずはここから!)
1. 片足立ち(椅子の背に手を添えて)
椅子や机につかまりながら片足を浮かせ、10〜20秒キープ。左右交互に。
👉 高齢者教室でも数週間で「買い物帰りにふらつかなくなった」と効果を実感されています。
2. つま先上げ・かかと上げ
壁や椅子を支えにして、
- つま先を上げる(すねを鍛える)
- かかとを上げる(ふくらはぎを鍛える)
を10回ずつ。
👉 足首周りが安定し、段差でのつまずきを防ぎます。
3. 椅子に座って体幹ひねり
椅子に浅く腰掛け、両手を胸の前で組んで体を左右にひねる。
👉 腰痛予防や体幹の安定に効果的。「起き上がりが楽になった」との声も。
4. 足踏みバランス
その場でゆっくり足踏みし、片足で立つ時間を少しずつ長く。
👉 テレビを見ながらでもできる手軽な方法。
応用編(慣れてきたら挑戦!)
5. 片足立ち+腕伸ばし
片足立ちで反対の腕を前・横・上に伸ばす。
👉 足と腕を同時に使い、体幹とバランス力をさらに強化。
6. かかと歩き・つま先歩き・つぎ足歩き
部屋の中をかかと歩き、つま先歩き、つぎ足あるきを5〜10歩ずつ。
*つぎ足歩きとは?
つぎ足歩きは、一本の線の上を歩くように、前の足のつま先に後ろの足のかかとをつけて進む歩き方のことです。バランス感覚や体幹を鍛える効果があり、転倒予防の運動としてもよく使われます。
どんな効果がある?
- バランス能力の向上 足を前後にぴったりつけることで、普段より不安定な姿勢になります。そのため体幹や下半身の安定性が鍛えられます。
- 転倒予防 高齢者の運動教室などで取り入れられており、ふらつきやつまずきに強い体づくりに役立ちます。
- 集中力アップ 「まっすぐ歩く」という意識を保つため、姿勢改善や集中力の向上にもつながります。
やり方のポイント
- 床にテープなどで「一本の線」を作ると分かりやすい。
- 背筋を伸ばして、視線は前へ。
- 前の足のつま先と、後ろの足のかかとをきちんと合わせる。
- バランスが崩れそうなときは、壁や椅子に軽く手を添えて安全に行う。
注意点
- 最初はゆっくり、5〜10歩から。
- 足元が滑らない場所で行う。
- めまいや体調不良があるときは無理しない。
👉 まとめると、つぎ足歩きは 「一本の線をたどるように、かかととつま先をつけて歩くシンプルな運動」。
転倒予防や体幹強化に役立つ、安全で効果的なトレーニングです。
👉 足首の安定性アップ、転倒防止に効果的。
7. 椅子スクワット+体幹意識
椅子から立ち上がり→座る動作を10回。背筋を伸ばしながら。
👉 下半身と体幹を同時に鍛え、歩行時の安定性が増します。
8. 片足立ちでかかとタッチ
片足立ちで、浮かせた足のかかとを反対の足にタッチ。
👉 股関節の安定性が増し、階段の上り下りが安心に。
9. 足踏み+体幹ツイスト
足踏みしながら上半身を左右にひねる。10回。
👉 下半身と体幹の連動を促し、転倒防止と腰痛予防にも。
安全に続けるポイント
- 椅子や壁をそばに置いて行う
- 無理せず、少ない回数から始める
- 「昨日よりできた!」という小さな成功体験を大切に
継続することで、確実にバランス感覚が鍛えられます。
転倒予防だけでなく、普段の生活がもっと楽に、安心して過ごせるようになりますよ。
高校サッカー部の選手にやらせたときも、試合中の接触で倒れにくくなり、競り合いで強さを発揮できるようになりました。バランス力は年齢を問わず競技力にも直結します。
続けるための工夫
「運動は分かっていても続かない」という声をよく聞きます。そこで私が勧めているのは次の工夫です。
- 習慣に組み込む … 歯磨きの前に片足立ち、テレビのCM中にかかと上げ。
- 目に見える目標を立てる … 「10秒→20秒→30秒」と段階を追って達成感を味わう。
- 仲間と一緒に … 教室や家族と取り組むと続きやすい。
体育館での高齢者運動教室では「一人じゃやらないけど、みんなとなら楽しい」と笑い合う姿をよく見ます。
転倒予防は日常生活そのもの
転倒は特別な出来事ではなく、日常の動作の延長で起こります。買い物袋を持って振り返るとき、暗い廊下で足元が見えにくいとき、ほんの一瞬のバランスの崩れが事故につながります。
接骨院に来られた患者さんの中には「たった一度の転倒で股関節の骨折、背骨の圧迫骨折を起こし生活が大きく変わった」と語る方もいました。だからこそ、予防は“今日からの習慣”として取り入れてほしいと強く思います。
まとめ:転ばない体を作るのは毎日の小さな積み重ね
バランス感覚を鍛えるトレーニングは、難しいものではありません。片足立ちや足踏みといったシンプルな運動でも、日々の積み重ねで体は確実に変わります。
「特別な道具がないからできない」と諦める必要はありません。むしろ、日常生活の中で自然に取り入れられる工夫こそ、長続きの秘訣です。
私が現場で実感するのは「小さな一歩が未来の安心につながる」ということ。今日からでも一緒に、“転ばない体づくり”を始めてみませんか。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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