「冷え」は気合いでは治らない!?
「先生、冬になると手足が冷たくて寝られないんです。」
先日、私の接骨院に来られた70代の女性がそう話してくれました。
手を触ってみると、まるで氷のよう。
指先を軽く押しても、血の気が戻るまでに少し時間がかかります。
長年の経験からも、末端の血の巡りが弱っているのが手の感触でよく分かりました。
昔は「冷えは気のせい」なんて言われたものですが、
今では医学的にも“冷え=血流と自律神経のアンバランス”と分かっています。
つまり、気合いや厚着ではどうにもならないわけです。
さて、あなたの体は今どんなリズムで動いているでしょうか?
今回は、私が長年現場で見てきた「冷えない人の3つの生活リズム」を紹介します。
どれも難しいことではありませんが、続けると確実に変わります。
🔹リズム① “温めすぎない”が実はカギ
冷え性の方に多いのが、「とにかく温めればいい」と思っているタイプ。
湯たんぽ、腹巻き、靴下3枚重ね……まるで防寒フル装備。
でも、これが逆効果になることもあるんです。
体は温度の変化を感じることで、血管を広げたり縮めたりして体温を保っています。
つまり、ずっと温めっぱなしだと“温度センサー”が鈍くなる。
これを私は「ぬるま湯生活症候群」と呼んでいます(笑)。
特にデスクワークの方は、動かず温め続けることで
筋肉ポンプ(血液を送る力)が働かず、血流が滞ります。
接骨院で施術するときも、温めたあとに軽く動かすよう指導します。
温める→動かす→また休む。このリズムが体の温度調節機能を鍛えるんです。
🔸ポイント:
「温めっぱなし」ではなく「温めたあとに動く」。
血液の“流れ”が冷え防止の第一歩。
🔹リズム② 「冷やす時間」も作る
サウナや交代浴が人気なのは、“冷やすこと”の大切さを体が知っているから。
実際、フィンランドの研究では、サウナの後に水風呂に入った人の方が
血管の反応性(拡張・収縮のバランス)が改善したという報告もあります。
冷やす=悪い、ではなく、
冷やす→体が温め直そうと反応→血流が活発になる、という流れ。
私が高校のバスケットボール部でトレーナーをしていた頃、
試合後のクールダウンで「温め+アイシング+外気浴」を組み合わせていました。
これをやると、翌日の筋肉痛が激減。
選手たちは「先生、これマジで整うっすね!」と笑っていました。
🔸ポイント:
冷えを防ぐには「適度に冷やす時間」を入れる。
冷やすことで、体は自ら温める力を取り戻す。
🔹リズム③ 休む時間を“ただの休憩”で終わらせない
現代人の多くは、頭を休めても体を休めていません。
スマホを見ながら休憩していると、
目は緊張、首は前傾、交感神経はずっとON。
接骨院に来られる患者さんの中にも、
「寝ても疲れが取れない」「朝からだるい」という方が多いですが、
ほとんどが“休息の質”が悪いケース。
そこでおすすめしているのが、「3分間の腹式呼吸リセット」。
椅子に腰をかけ、背筋を軽く伸ばして、片手をお腹にあてます。
鼻からゆっくり息を吸い、お腹をふくらませるように。
次に、口をすぼめて、お腹を凹ませながらゆっくり細く長く吐き出します。
この“吸うより吐くを長くする”リズムがポイントです。
たった3分でも、自律神経が興奮状態の交感神経からリラックスした副交感神経優位へと切り替わり、
体の奥からじんわり温まってくるのを感じる方が多いんです。
ある在宅ワーカーの女性患者さんは、
この習慣を2週間続けただけで「足先の冷えが軽くなった」と話していました。
呼吸が整えば血流が整う。血流が整えば体温も安定する。
人間の体って、本当に正直ですね。
🔸ポイント:
「動と静」をつくる。休む=止まるではなく、“整える時間”に変える。
🔹冷えを防ぐ体は「リズム」でできている
ここまで話してきた3つのリズム――
- 温めすぎない
- 適度に冷やす
- しっかり休む
このバランスが取れてくると、
血管はしなやかに動き、自律神経のON・OFFもスムーズになります。
昔の人は自然とこれをやっていました。
薪で風呂を沸かし、外で涼み、早寝早起き。
まさに理想的な温冷リズムの生活です。
でも今は、24時間エアコンとスマホの世界。
だからこそ、意識的に“温度の変化”を感じることが
現代の温活には欠かせないんです。
🔹現場で感じる「冷えと心の関係」
冷えは単なる体温の問題ではなく、
ストレス・緊張・心の疲れと深くつながっています。
往診で寝たきりの方をみると、
手足が冷たく、表情もこわばっていることが多いです。
でも、手を温めながら呼吸を合わせると、
ふっと顔の力が抜けて、涙をこぼす方もいます。
「先生、なんか心まで温かくなったみたい。」
この瞬間、いつも思います。
冷えを防ぐとは、“体温”ではなく“心の余白”を取り戻すことなんだなと。
まとめ:冷えない体は「揺らぎ」を楽しむ体
完璧な温度管理や、冷え取りグッズよりも大切なのは、
体が自分で整う力を信じてあげること。
温める、冷やす、休む――この3つのリズムを生活に取り入れて、
体の“揺らぎ”を味わうように過ごしてみてください。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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