「ダイエットって、いつ卒業できるんだろう。」
接骨院で長年働いていると、そんな声を聞く場面が何度もあります。椅子に腰掛けるなりため息をつく患者さんもいれば、高校のバスケ部で指導している時、練習後に「先生、またリバウンドしました…」と肩を落とす選手もいます。
そのたびに思うんです。体重の数字に人生を振り回されるのは、もったいない。
痩せるための努力から、整えて楽しむ生活へ。
その転換点を読者の方にも感じてもらえたら嬉しいです。
◆ “痩せる”をゴールにすると、疲れが溜まる理由
患者様と接骨院での施術中に、何度も同じ会話をしました。
「食べる量を減らしたのに、体重がぜんぜん動かないんです。」
そんな時は、まず睡眠の状態を聞きます。
寝不足が続いている方は、例外なく体重が落ちにくい。これはホルモンが関係します。
・レプチン=満腹を感じる
・グレリン=食欲を強める
(出典:Spiegel K. et al., Ann Intern Med. 2004)
睡眠が短いと、このバランスが崩れて食欲が強くなる。
私が講師として専門学校の授業でもよく話しますが、どれだけ運動しても、このホルモンの流れには逆らえません。
数字だけを追う生活は、心も身体も疲れてしまう。
私自身、トレーナーとしてバスケ部の合宿用のトレーニングメニューを作成するため、夜遅くまで資料を作っていた時期、翌朝は甘い菓子パンに手が伸びてしまいました。
人間って、そんなに強くないんですよ。
◆ “整える”を中心にすると、気持ちがラクになる
最近、接骨院で話題になるのが「体重より、疲れを残さない生活をしたい」という声。
私が指導する高齢者スポーツ教室でも同じような話題になりました。
整える、とは体の状態を元に戻すこと。
食事、睡眠、運動の三つの車輪がバランスよく回れば、自然と体形は変わっていきます。
私が患者さんにまずやってもらうのは、次のような“整えポイント”。
・呼吸を深める(腹式呼吸)
→心肺機能(呼吸と心臓の働き)が整う
・背中と股関節を動かす
→代謝が上がる
・寝る前のスマホ時間を短くする
→自律神経のオンオフが切り替わりやすい
高校野球部のトレーニング指導では、背骨まわりのストレッチを入れるだけで、翌日の疲労度がまったく違いました。選手自身も「走るのが軽い」と驚いていたほど。
こういう小さな整えが積み重なると、体形にも自然に現れてきます。
◆ 食事は“頑張る”より“整える”
トレーナーとしての見地も含めて話すと、食事の極端な制限ほどリバウンドを招きます。
患者さんの中には、糖質を必要以上に怖がる方もいて、訪問リハビリの現場では体力が落ちてしまった例も見てきました。
食事の整え方は、拍子抜けするほどシンプルです。
・たんぱく質を毎食入れる
(筋肉の材料)
・野菜を先に食べる
(血糖値が乱れにくい:出典 Jenkins DJ., Diabetologia 1982)
・腹八分にする
この三つを続けていくと、体型はゆっくり変わっていきます。
私自身、昼食を腹八分に変えた日は、午後の施術が軽い。集中力も途切れにくい。
理屈より、体感のほうが説得力があります。
◆ 運動は「短時間でもOK」という気持ちを持つ
運動に関しては、多くの方が「続けられない」と嘆く場面が多い。
そんな時は、ハードルを一気に下げます。
・5分歩く
・肩甲骨をまわす
・風呂上がりに太ももを伸ばす
スポーツ専門学校の学生にはよく「1時間トレーニングできる人より、5分を続けられる人の方が強い」と話します。
実際、接骨院に来られる60代の男性患者さんが、1日5分の散歩を半年続けただけで血圧の数値が改善していました。
“続けられる強さ”は、運動歴より習慣で決まる。
これは多くの現場で見てきた事実です。
◆ 休養が整うと、すべてが回りだす
休養は、運動や食事より軽視されがちです。
でも、寝たきりの方の訪問ケアでは、休養の質が体力の差に直結します。
寝返りがしづらい方には、呼吸の深さが違う。
その違いは、姿勢の安定や食欲にまで影響します。
一般の方でも同じです。
・夜に脳を刺激しすぎない
・ぬるめの湯に浸かる
・部屋を暗くして寝る準備を早める
少し整えるだけで、翌日のコンディションは変わる。
体重より、まず“疲れが抜ける体”を育てるほうが、長い目で見たら結果が出やすい。
◆ 旅・趣味・家族の時間が「太らない生活」をつくる
ここからは、少し個人的な話です。
私は旅が好きで、年に数回は仕事の隙間を縫ってどこかに出かけます。
仙台、愛知、三重、富山、東京の街中散歩。
歩く距離が自然に伸びるし、よく笑う。よく寝る。食事も地域のものをゆっくり味わう。
こういう生活を送ると、「太らない生活って、案外“心の余裕”がつくっているんだな」と実感します。
高齢者スポーツ教室で参加者に聞いても、趣味や孫との時間が充実している人ほど、体型の悩みが少ない。
心が満足すると、過食が減る。
身体を動かすことも、義務ではなく楽しみに変わります。
これこそ、太らないライフデザインの土台です。
◆ ダイエットの卒業式は、自分で決めていい
長年、健康の現場で感じてきたのは、「健康は点じゃなく線でつながっている」ということ。
体重が落ちた日も、落ちない日も、すべて線の途中。
整えながら楽しむ生き方を選ぶと、その線がゆるやかに右肩上がりになります。
患者さんや学生たちを見ていて、これほど確かなことはありません。
痩せるために頑張るのではなく、
整えることで軽く動けて、よく眠れて、よく笑う。
そんな生き方を選ぶ瞬間が、ダイエットの卒業式です。
あなたにとって、その日が今日であっても良い。
むしろ、自由に決めていいんです。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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