運動をしているのに思ったほど疲れが取れない、息がすぐに上がってしまう。そんな声を患者さんやスポーツ現場の選手からよく聞きます。
実は、同じ運動をしていても「呼吸の仕方」で体に入る酸素量が変わり、結果的に疲労の抜けやすさや運動効果に差が出てしまうのです。
今回は、接骨院の現場やトレーナー活動、健康運動教室の指導経験を踏まえて、「有酸素呼吸法」についてわかりやすくお伝えします。
呼吸と運動の関係を見直す
人間は安静時でも1分間に約12〜20回呼吸しています。ところが運動になると心拍数が上がり、呼吸は乱れやすくなります。このとき「浅く早い呼吸」に偏ると、酸素が十分に筋肉へ届かず、乳酸が溜まりやすくなる。これが「すぐ息切れしてしまう」「疲れやすい」と感じる大きな要因です。
私は高校バスケットボール部でのトレーナー経験が長いのですが、体力に自信のある男子選手でも、練習中に「なんだか体が重い」と言うケースがありました。フォームや筋力の問題と思われがちですが、呼吸のリズムを整えるように指導したところ、走り込み後の疲労感が軽くなったと実感する選手が多かったのです。
有酸素呼吸法の基本
「有酸素呼吸法」とは難しいことではありません。要は、呼吸を止めず、一定のリズムで酸素をしっかり体に取り入れる習慣をつけることです。
・鼻から吸い、口から吐く
鼻呼吸はフィルター機能があり、空気を温め加湿して肺に届けます。運動中は口呼吸だけに頼ると喉が乾燥しやすく、体に負担がかかります。
- 吐く時間を長めに意識する
吸うことよりも吐くことを丁寧に。息を吐き切ると横隔膜がしっかり動き、次に自然と深く吸えるようになります。
- リズムを体の動きと合わせる
ウォーキングなら「3歩で吸って、3歩で吐く」、スクワットなら「しゃがむ時に吸って、立ち上がる時に吐く」といった具合に、動きと呼吸をリンクさせることがポイントです。
実際の現場でのエピソード
接骨院に通院される患者さんの中には、「リハビリ中に息を止めて力んでしまう」方が意外に多いです。ある70代の女性は、足腰のトレーニングをしている最中に顔が真っ赤になっていたので声をかけると、「息するのを忘れてた!」と笑っておられました。呼吸を整えてからは、「同じ回数の運動でも疲れ方が全然違う」と驚かれていました。
また、野球部の選手では筋トレ中に「ウッ」と声を出しながら息を止めてしまうケースがよくあります。短時間の力発揮には有効なこともありますが、パフォーマンスを長く安定させたい場合は逆効果。息を止めないように指導すると「最後まで力を出し切れる感覚があった」と報告してくれました。
高齢者スポーツ教室での呼吸指導
体育館で行っている高齢者運動教室でも、呼吸の仕方で動作の安定感が大きく変わります。片足立ちのバランストレーニングをしていると、呼吸を止めてプルプルしてしまう方が多いのです。「ふーっと息を吐きながら立ってみましょう」と声をかけると、不思議と揺れが少なくなり、参加者から「これなら長く立っていられる」と笑顔がこぼれます。呼吸と体幹の安定は直結していると、現場で何度も実感してきました。
日常生活でできる有酸素呼吸法の工夫
運動の時だけでなく、日常生活でも意識すると習慣化しやすくなります。
- 階段を上がるときに「2段で吸って、2段で吐く」リズムを試す
- 歩くときに「3歩で吸って、3歩で吐く」を意識する
- テレビを見ながらゆっくり腹式呼吸をする
小さなことですが、積み重ねることで肺活量が自然に高まり、血流や代謝も改善されていきます。
腹式呼吸のやり方(基本ステップ)
① 姿勢を整える
- 椅子に腰かけ、背筋を軽く伸ばします。
- 肩の力を抜き、胸を張りすぎない自然な姿勢にします。
② お腹に手を当てる
- 片手をお腹に、もう片方を胸に置きます。
- 呼吸のときに「お腹の手だけが上下する」のを意識します。
③ ゆっくり鼻から息を吸う
- 鼻から空気を吸い込み、お腹がふくらむのを感じます。
- このとき胸はできるだけ動かさず、お腹が風船のように膨らめばOK。
④ 口からゆっくり吐く
- 口をすぼめて「フーッ」と細く長く息を吐きます。
- お腹がへこんでいくのを意識しながら、できれば倍くらいの時間をかけて吐きましょう。
⑤ 繰り返し
- 1回につき5〜10呼吸、1日数回取り入れるだけでも効果があります。
- 寝る前やウォーキングの最中にやると、リラックスや運動効率アップにつながります。
現場でのちょっとした工夫(体験談)
- 高齢者体操教室では、「お腹に風船を入れてふくらませるイメージ」と伝えると分かりやすいようで、笑いながら挑戦してくれます。
- スポーツ選手には「吐くときに体幹が締まる感覚を意識して」と伝えると、フォームが安定しやすくなります。
- 自宅では「寝転がって練習」すると、余計な力が抜けてやりやすいですよ。
👉 ポイントは「胸ではなくお腹で呼吸する」こと。最初は違和感がありますが、慣れてくると自然にできるようになります。
私自身の体験
実は私自身も50代に差しかかった頃、軽いウォーキングですぐ息切れすることがありました。運動不足かと思っていたのですが、呼吸が浅くなっていたのが原因でした。意識して「吐く」ことを長めにしただけで、同じ距離を歩いても疲れ方が全く違うのです。今では毎朝のウォーキングが楽しみになり、体調も以前より安定しています。
まとめ:呼吸を制する者は運動を制す
呼吸は誰でも毎日している当たり前のことですが、意識して整えるだけで運動効果が何倍にも変わります。浅い呼吸で疲れやすくなるか、深い呼吸で体が楽になるか。その差は大きいです。
「有酸素呼吸法」は特別な器具や場所も必要ありません。接骨院でのリハビリ、スポーツ現場の選手、高齢者の健康運動教室、そして日常生活の中で、どんな人でもすぐに取り入れられる方法です。
もし運動をしていて「すぐ疲れる」「効果が出にくい」と感じているなら、まずは自分の呼吸を意識してみてください。ちょっとした工夫で、体は見違えるように軽くなるはずです。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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