ある真夏の夜のことです。寝苦しさで何度も目が覚めて、汗びっしょり。エアコンはつけていたのに、朝起きたら頭がぼんやりして、体がだるい……。
「もしかして、夜の間に熱中症になってた……?」
そんな経験、ありませんか?
私は何度かあります。特にホテルや旅先の宿泊先で、温度調整がうまくいかないと、翌朝のコンディションがガタ落ち。講習会や学会に出る日は朝から勝負なので、これは大問題でした。
今回は、見落としがちな「夜間熱中症」について、私自身の体験談や、接骨院や健康指導の現場で感じたことを交えて、わかりやすくお話ししていきます。
夜でも熱中症になる理由
熱中症というと、真昼の炎天下で起きるイメージがありますよね?でも、実は「夜間」でも油断は禁物なんです。
その大きな理由は2つあります。
1. 寝ている間も体は汗をかいている
人は寝ている間でもコップ1杯分(約200〜300ml)の汗をかくといわれています(※厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」より)。
エアコンを切ってしまったり、窓を閉め切った部屋で寝ていると、室温や湿度が上がって汗がうまく蒸発せず、熱が体内にこもりやすくなります。
2. 自覚しにくい
昼間の熱中症は「暑い」「気持ち悪い」「めまいがする」などの自覚症状がありますが、寝ている間はそれがわからないまま進行することがあります。朝起きたときの頭痛、めまい、脱力感などは、まさに夜間熱中症のサインかもしれません。
どんな環境だと危ない?
室温と湿度。この2つがカギです。

■ 室温:25℃前後が目安
日本気象協会や環境省の推奨では、就寝時の室温は25℃前後が理想とされています。
「少し涼しすぎるんじゃ?」と思うかもしれませんが、湿度とのバランスを取るためにはこれくらいがちょうどいいんです。

■ 湿度:50〜60%が理想
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりません。逆に40%以下になると乾燥して呼吸器にも負担がかかります。ちょうどいいのは50〜60%。
加湿器や除湿機、エアコンの「ドライ機能」などをうまく活用して調整していきましょう。

予防のためにできること
■ 服装はゆったり、風通しよく
締めつけのない、吸湿速乾性のあるパジャマや下着がおすすめです。昔ながらの綿素材も良いですが、最近は冷感素材のインナーも快適ですよね。個人的には、風が抜ける感じのある「甚平」もお気に入りです(笑)。

■ 水分・ミネラル補給
寝る前と朝起きたときの水分補給は、必ず!これは習慣にしてほしいです。
麦茶はノンカフェインでミネラルも含まれていて、夏の水分補給にピッタリ。1日1〜1.2リットル、200mlのコップで6杯程度を目安に、少しずつこまめに摂りましょう。
冷蔵庫に入れておくと飲みすぎちゃうので、私は常温でペットボトルを置いておく派です。

食事からの熱中症対策も忘れずに
暑くなると、食欲が落ちて「そうめんだけ」「冷ややっこだけ」みたいな日も増えますよね。でも、そんな日こそ、体にエネルギーを入れてあげることが大事。
おすすめは、
- 炭水化物(ごはん、うどん、パンなど):体を動かすためのエネルギー源
- たんぱく質(肉・魚・豆類):回復力を支える
- ビタミンC(ブロッコリー、キウイ、パプリカ):紫外線ダメージに負けない体に
- クエン酸(梅干し、レモン、酢):疲労回復に
- カリウム(アボカド、里芋、キュウリ):余分な水分を外に出して体を冷やす
特に私が推しているのが「冷やし豚しゃぶ+キュウリとパプリカのサラダ+雑穀ごはん」の組み合わせ。これ、見た目も涼しくて、体もシャキッとします。

もし熱中症っぽくなったら?
起きた時に頭痛、めまい、だるさがあったら、まずは涼しい部屋へ。そして、
- 冷たいタオルや氷で首すじ、脇の下、太ももの付け根を冷やす
- 常温の水やスポーツドリンクなどで水分補給(急に冷たい水は胃に負担がかかることも)
少しでも「ヤバいな」と感じたら、無理せず受診してくださいね。

最後に:眠っている間の“無防備さ”が一番の落とし穴
熱中症というと「外で頑張りすぎたから」「スポーツで汗をかきすぎたから」というイメージがあるかもしれません。
でも、夜間熱中症は、「何もしていないのに」「寝ていただけで」起こるんです。
だからこそ怖い。だからこそ、対策が必要。
私自身、何度も体験しているからこそ言えます。
エアコンを上手に使うことも、こまめな水分補給も、栄養バランスの良い食事も、すべて“自分の体を大事にする”ための工夫なんです。
皆さんもぜひ、今年の夏は「夜間熱中症」に気をつけて、快適な夜を過ごしてくださいね。新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市