「先生、長時間座っていると腰が重くて仕事に集中できません」
これは接骨院に通う30代の会社員からの言葉です。パソコン作業や会議など、一日中座りっぱなしという人は少なくありません。腰痛や肩こりで来院される方の中には、治療だけでなく座る環境に問題を抱えているケースが多くあります。
私自身も学会の資料まとめや、ブログ執筆、講義資料作りで長時間座ることがあります。気を抜くと腰が固まり、立ち上がるときに「イタタ…」となることもある。そんな経験からも、どんな椅子に座るかは腰痛予防の大きなポイントだと感じています。
なぜデスクワークで腰痛が増えるのか?
座る姿勢は一見ラクに見えますが、腰椎や骨盤への負担は立っているときよりも大きいのです。特にこんな姿勢が腰痛を招きやすい。
- 骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなる
- 首が前に突き出し、猫背姿勢になる
- 太もも裏が圧迫され血流が滞る
- 長時間同じ姿勢で筋肉が硬直する
私が講師を務めていた専門学校の授業でも、学生に「1時間座りっぱなし」を体験してもらいます。立ち上がった瞬間の腰の重さや足のだるさに、多くが驚きます。まさにデスクワーク腰痛の再現です。
椅子選びで押さえておきたいポイント
1. 座面の高さ
椅子の座面は「膝よりお尻が少し高くなる高さ」に調整するのが理想です。そうすると骨盤が自然に起き上がり、背骨のカーブも保ちやすくなります。膝とお尻が同じ高さか、お尻の方が低くなると骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まりやすくなるので要注意。実際に高齢者体操教室で座面を調整したところ「背筋が伸びて足が軽い」と実感していただけました。
2. 座面の奥行き
深すぎると腰が背もたれに届かず前かがみになりやすい。逆に浅すぎると太ももが支えられず疲れやすい。座ったときに、ひざ裏と座面の間にこぶし一つ分の隙間が目安です。
3. 背もたれの形状
腰の自然なカーブ(前弯)を支えるランバーサポートがあると腰が安定します。接骨院で患者さんに背もたれクッションや、タオルを丸めた物を腰に当てて試してもらうと「腰がラク」と表情が変わることが多いです。
4. 素材とクッション性
柔らかすぎる椅子は沈み込み、骨盤が後傾しやすい。硬すぎるとお尻が痛くなる。適度な反発力があり、体を支えてくれる素材が望ましい。
5. 肘掛けの有無
長時間のタイピングでは肘掛けが肩の負担を減らします。高さが机に合っていないと逆に姿勢が崩れるので、調整できるタイプが良いです。
実際の体験談から
- 接骨院の患者さん
在宅勤務が増えた40代男性。ダイニングチェアで作業して腰痛が悪化。座面の高さと背もたれを調整できるオフィスチェアに替えたところ、腰痛が軽減しました。「投資した分だけ体がラク」と笑顔に。
- 高校野球部の学生
授業中の座り方が悪く、腰痛を繰り返していました。椅子の座面に厚手のタオルを畳んでお尻に敷き骨盤が立ちやすいよう工夫すると「授業後の腰のだるさが違う」と感想をもらいました。
- 往診先の高齢者
低すぎる椅子に座っていたため立ち上がりが困難になっていました。座面を少し高くするだけでスムーズに立てるようになり、介助の負担も減りました。
チェアに頼りすぎない工夫も大切
どんなに良い椅子でも、同じ姿勢を続ければ負担は溜まります。
- 1時間に1回は立ち上がり、軽くストレッチ
- 足を組まず、両足を床に置く
- 肘掛けを使用せず、左右均等に体重をかける
- お尻を座面に深く入れて骨盤を立てる
- 時にはバランスボールやスタンディングデスクを活用する
スポーツ現場では「動き続けること」が基本です。同じ姿勢を続けるデスクワークはその逆。だからこそ、意識して動きを挟むことが腰痛予防になります。
まとめ 椅子選びは腰の“相棒”選び
腰痛は治療だけでなく、日常環境の改善が欠かせません。特にデスクワークでは「どんな椅子に座るか」がカギになります。
自分の体に合った椅子を選び、さらに小まめに動きを取り入れる。これがデスクワーク腰痛を防ぐ最短の方法です。
腰に不安を感じる人は、まず今座っている椅子を見直してみてください。ちょっとした調整で、体は驚くほど軽くなります。
👉 接骨院では、施術だけでなく座り方や椅子選びの相談も受けています。デスクワークで腰の不調に悩んでいる方は、気軽にご相談ください。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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