「歳を重ねてから転びやすくなった」「腰や膝の痛みが長引くようになった」――接骨院に通う患者さんからよく耳にする言葉です。
実際、私自身も30年以上現場に立ち、若い頃には気づかなかった“加齢による姿勢の崩れ”と“ケガの増加”の関連を数えきれないほど見てきました。姿勢はただ見た目を左右するものではなく、筋肉や関節の働き、さらにはケガのリスクまで直結します。
加齢とともに姿勢が変わる理由
年齢を重ねると、誰しも筋力や柔軟性が少しずつ落ちていきます。特に影響が出やすいのは 体幹の筋肉 と 下半身の筋肉 です。
腹筋や背筋が弱まると背中が丸まりやすくなり、骨盤も後ろに傾いてきます。さらに太ももやお尻の筋肉が落ちることで、歩幅が小さくなりバランスを崩しやすくなるのです。

私が往診している高齢の方も、最初は「少し猫背ぎみだな」という程度でしたが、1年ほど経つと立ち上がりや歩行の際に明らかに不安定さが出てきました。姿勢の小さな崩れが、生活動作全体に影響を及ぼすのを目の当たりにしました。
姿勢崩れがケガを招くメカニズム
姿勢が崩れると、身体の重心が前後左右にズレます。本来なら分散されるはずの負担が一部に集中し、関節や筋肉へのストレスが増えてしまいます。
- 猫背 → 首や肩のこり、呼吸が浅くなる
- 骨盤の後傾 → 腰痛、股関節の可動域制限
- O脚・X脚傾向 → 膝の痛み、転倒リスクの増加

高校のバスケットボール部をサポートしていたとき、体幹が弱く姿勢が崩れやすい選手は、ジャンプの着地で膝を痛めるケースが多くありました。若い世代でも姿勢はケガに直結します。これが加齢によって筋力やバランス感覚が落ちると、さらにリスクが高まるのです。
接骨院でよく見る「姿勢とケガ」の実例
ケース1:70代女性・転倒による手首骨折
買い物帰りにちょっとした段差につまずき転倒。猫背で重心が前方に偏っていたため、バランスを取りきれず手をついて骨折。
リハビリの過程で姿勢改善の運動を取り入れると、再発への不安も減りました。
ケース2:50代男性・ぎっくり腰の再発
デスクワーク中心で背中が丸くなりやすい体型。ちょっとした物を持ち上げただけで腰に激痛。体幹の筋力低下と姿勢の崩れが原因でした。ストレッチと筋トレを習慣化することで、再発を防げるようになりました。
ケース3:高齢者体操教室での体験
私が指導している体操教室でも、姿勢が良い人は転倒が少ない。逆に猫背や腰が丸まっている方は、ちょっとした動きでもバランスを崩す場面が見られました。姿勢は単なる見た目ではなく、安全に直結します。
姿勢を守るためにできること
1. 肩甲骨を意識した運動
肩を回す・肩甲骨を寄せる運動を取り入れることで、胸が開き呼吸も楽になります。
2. 体幹トレーニング
プランクやお腹を軽く締める意識で、背骨を支える筋肉が強くなります。
3. 下半身の強化
スクワットや軽いウォーキングで太もも・お尻を鍛えると、転倒防止に直結します。
4. 日常動作の工夫
椅子に座るときは深く腰掛ける、スマホは顔の高さに上げる――小さな意識で姿勢崩れを防げます。
🟦 プランクとは?
「プランク」は、自分の体をまっすぐ板(plank)のようにキープする体幹トレーニングの一つです。
腹筋・背筋・お尻・肩まわりなど、体を支える筋肉を同時に使えるので効率的に姿勢を整えられます。
🟦 基本のやり方
- 床にうつ伏せになり、肘を肩の真下につく。
- つま先を立てて体を持ち上げ、頭からかかとまで一直線に。
- お腹に力を入れ、腰が反らないように注意。
- 20〜30秒キープを目安に、慣れてきたら1分まで。
🟦 ポイント
- 腰が反ると腰痛の原因になるので注意
- 呼吸を止めず、自然に続ける
- 初心者は「膝をついて」から始めてもOK
🟦 効果
- 姿勢を支える体幹が強くなる
- 腰痛・猫背の予防
- お腹まわりの引き締め
- スポーツや日常動作の安定性アップ
👉 プランクは見た目以上に全身に効くトレーニングです。
ただし、やりすぎは腰や肩に負担になるので、まずは正しいフォームで短時間から始めるのが安全です。
私自身の実感
接骨院の現場でも、トレーナーとして学生を見ていても、「姿勢が整うとケガが減る」 という実感は揺るぎません。
ある高校野球部の選手は、猫背でスイングフォームが安定せず肩を痛めやすかったのですが、姿勢改善のトレーニングを取り入れてからは打撃も安定し、痛みも軽減しました。
高齢者にとっては「転ばないこと」が最大のケガ予防。若者にとっては「フォームを崩さないこと」が競技力向上につながります。年代は違っても、姿勢が鍵を握っていることに変わりはありません。
まとめ
加齢による姿勢の崩れは避けられませんが、放置するとケガや生活の質の低下に直結します。
- 姿勢が崩れる → バランスが乱れる → ケガのリスクが高まる
- 姿勢を意識する → 筋肉と関節が安定 → ケガを予防できる

「姿勢を正すことは、見た目を整えるだけでなく、未来の自分の体を守ること」――これをぜひ覚えておいてください。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
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