朝の腰の重だるさ…放っていませんか?
「朝起きたら腰が痛い」「布団から起き上がるのに時間がかかる」——接骨院に来院される患者さんから、こうした声をよく聞きます。寝る前までは大丈夫でも、朝になると腰がこわばって動きにくい。これは単なる“年齢のせい”ではありません。
一晩中同じ姿勢で眠っていると、腰回りの筋肉や関節は硬くなり、血流も滞ります。さらに布団の中で寒さにさらされれば、筋肉は余計に縮こまりやすい。そうして迎えた朝、最初の動きで腰に大きな負担がかかり、痛みや違和感につながるのです。
私は柔道整復師として30年以上、臨床やスポーツ現場で多くの腰痛と向き合ってきました。高校のバスケットボール部や野球部のトレーナーとして、練習前に必ず取り入れてきたのが「朝ストレッチ」。また、高齢者スポーツ教室の生徒さんたちにも「起きてすぐ動ける体」を目指して指導していました。共通して言えるのは、“朝のほんの数分の習慣が、その日の腰の調子を大きく変える”ということです。
なぜ朝ストレッチが腰痛予防に効くのか?
1. 筋肉のこわばりを解きほぐす
睡眠中は体をほとんど動かさないため、筋肉や靭帯は軽く縮んだ状態で固まっています。特に腰回りの大腰筋や腰方形筋は硬くなりやすく、これが「朝の腰の重さ」の原因の一つ。ストレッチで筋肉をゆっくり伸ばすことで、関節の動きがスムーズになり、血流も改善します。

2. 血液循環を促して体を目覚めさせる
朝ストレッチは「ポンプ」の役割を果たします。寝ている間に停滞した血液やリンパの流れを促進し、新鮮な酸素を筋肉に届ける。体が温まり、自然と目も覚めやすくなるのです。

3. 自律神経を整える
寝起きは交感神経がまだ低く、副交感神経の影響が残っています。軽いストレッチは体を動かしながら呼吸を深めるため、自律神経の切り替えをスムーズにします。その結果、一日のスタートを軽快に切れるようになります。

実践!朝の腰痛予防ストレッチ
ここからは、私が患者さんやアスリートに指導してきて効果を実感してきたストレッチを紹介します。布団の上で3分から始められます。
- 膝抱えストレッチ(腸腰筋・腰回りのリリース)
仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱え込み、胸に近づけるように引き寄せます。反対側の足はまっすぐに伸ばしたままにしましょう。呼吸を止めずに30秒キープし、反対側も同様に行います。最後に、両膝を同時に抱えて胸に引き寄せ、さらに30秒キープすると腰回りがより緩みます。
体験談: デスクワークで腰がガチガチになった40代男性の患者さん。毎朝このストレッチを取り入れたところ「出勤前の腰の重さがなくなり、午前中の集中力も違う」と実感していました。
- 両膝倒しストレッチ(腰方形筋・脊柱の柔軟性アップ)
仰向けに寝て、両腕を肩の高さで横に広げます。両膝を揃えて90度に曲げ、そのまま左右どちらかへゆっくり倒していきましょう。顔は膝と反対方向に向けると、背骨から腰回りまでじんわり伸びるのを感じられます。呼吸を止めずに、気持ちよく伸びているところで30秒ほどキープしてください。
体験談: 高齢者スポーツ教室の70代女性。最初は「腰がつっぱる」と苦戦していましたが、毎朝繰り返すうちに「寝返りが楽になった」と笑顔を見せてくれました。
- 片足伸ばしストレッチ(ももの裏)
両足を前に伸ばして床に座ります。そこから片方の足をあぐらをかくように曲げ、もう片方の足はまっすぐ前へ伸ばします。伸ばした足のつま先に手を伸ばし、太ももの裏がじんわり伸びるのを感じながら、無理のない範囲で姿勢をキープしましょう。左右交互に行い、片側30秒を目安に。リラックスして深呼吸を意識すると、ストレッチ効果がさらに高まります。
体験談: 高校野球部の投手にこのストレッチを勧めたところ、「朝のキャッチボールで腰の張りを感じなくなった」と報告してくれました。
- うつ伏せ上体起こし(腰の柔軟性アップ)
うつ伏せに寝て、お腹は床につけたままにします。両手を肩の横に置き、息を吐きながらゆっくりと肘を伸ばして上体を反らせていきましょう。腰からお腹の前面が心地よく伸びているのを感じながら、その姿勢を30秒ほどキープします。首や肩に力を入れすぎないよう注意し、呼吸は自然に続けてください。
こちらもご覧ください↓【腰痛体操】認定セラピストが指導するマッケンジー体操 反って腰痛改善体操 ニュージーランドの腰痛改善リハビリです。
体験談: トラック運転手の患者さんは、毎朝の前屈を続けたことで「長時間の運転後も腰が軽い」と喜んでいました。
続けるための工夫
「ストレッチは続かない」という声をよく聞きます。コツは完璧を目指さないこと。
- 1種類だけでもいい:忙しい日は膝抱えストレッチだけでも十分。
- ルーティン化:歯磨きや朝のコーヒーとセットにする。
- 布団の上でOK:わざわざヨガマットを敷かなくてもいい。
患者さんの中には「ラジオ体操を録音して流しながらやる」という工夫で続けている方もいます。

私自身の経験から
正直な話、私も若い頃は「朝ストレッチなんて必要ない」と思っていました。しかし30代後半、施術中に腰に違和感を覚えるようになり、ある朝、腰が固まって動けなくなったことがあります。それ以来、朝に体を動かす習慣を取り入れました。今では「ストレッチをしないと気持ち悪い」と感じるほど。腰だけでなく気持ちも軽く、一日のスタートが全く違います。
まとめ:朝の5分が一日を変える
- 朝は筋肉や関節が硬く、腰に負担がかかりやすい
- ストレッチで筋肉をほぐし、血流を促し、自律神経を整える
- 膝抱え、膝倒し、足裏伸ばし、腰反りなどシンプルな動きでOK
- 完璧を求めず「ゼロにしない」習慣が腰痛予防につながる
腰痛で悩む方に伝えたいのは、「特別な器具や長時間の運動は必要ない」ということ。ほんの5分、朝の布団の上で体をゆっくり動かすだけで、その日の腰が驚くほど軽くなる。これは私自身も、患者さんも、選手も、何度も体験してきた真実です。
👉 次回は「デスクワーク中でもできる腰痛対策ストレッチ」について詳しく解説する予定です。新潟市中央区長潟3−2−2
たかやま接骨院 高山 慶市