「夕方になると頭が締めつけられるように痛む」
「薬を飲んでも一時的にしかラクにならない」
そんな経験はありませんか?
私が接骨院で日常的に出会うのが、筋緊張性頭痛に悩む患者さんです。片頭痛のようにズキズキと拍動する痛みではなく、頭全体をギューッと押さえつけられるような重さ。原因は多くの場合、首や肩の筋肉が固まって血流が悪くなることにあります。

ここでは、35年にわたる臨床とトレーナー経験から得た「セルフケアの実践法」をまとめました。薬に頼らず、自分の体をラクにするための具体的な工夫を紹介します。
筋緊張性頭痛とは?
医学的には「緊張型頭痛」と呼ばれます。首や肩、後頭部の筋肉が持続的に緊張し、血流が滞って発症します。長時間のデスクワーク、スマホ操作、精神的なストレス、運動不足が典型的な要因です。
特徴的な症状は次の通り。
- 後頭部からこめかみにかけて締めつけられるような痛み
- 鈍い重さが数時間から数日続く
- 吐き気や光過敏は少ない

接骨院に通っている40代の女性は「夕方になると頭が重く、肩もガチガチ」と話していました。検査すると首から背中にかけて筋肉が固まり、呼吸も浅くなっていたのです。
姿勢を整えることが最大のセルフケア
姿勢の乱れは筋緊張性頭痛の大きな原因です。
デスクワークで意識したいこと
- 横から見て、耳、肩、骨盤が一直線になるように座る
- 画面の高さを目線に合わせる
- 足裏を床にしっかりつける
- 座面は膝より高い位置

パソコンを低い位置に置き、背中を丸めたまま作業する人が非常に多い。高校野球部で勉強と練習の両立をしている選手も、勉強中の姿勢が悪く頭痛を訴えるケースがありました。机と椅子の高さを調整するだけで頭痛が軽くなった例もあります。
呼吸を深くするだけで首肩が軽くなる
筋緊張性頭痛の人は呼吸が浅くなりがちです。肩をすくめて胸の上部だけで呼吸する「浅い呼吸」が続くと、首や肩の筋肉に余計な力が入り、痛みを助長します。
呼吸法セルフケア
- 椅子に座り背筋を伸ばす
- 鼻から4秒かけて息を吸う
- 口から6秒かけてゆっくり吐く
- これを5回繰り返す
体育館で行っている高齢者体操教室では、この呼吸法を取り入れています。「肩が軽くなった」「夜の寝つきが良くなった」との声をよく聞きます。呼吸だけで血流が変わるのを実感できる瞬間です。
ストレッチと運動で筋肉をほぐす
薬に頼らず頭痛をやわらげたいなら、軽い運動とストレッチが効果的です。
簡単ストレッチ例
- 肩すくめストレッチ:肩を思い切りすくめて5秒キープし、ストンと脱力。これを5回。
- 首横伸ばし:椅子に座り、片手で頭を横に傾け、首の横を伸ばす。左右20秒ずつ。
- 肩甲骨リリース:両肘を後ろに引き、肩甲骨を寄せる動作を10回。
往診で伺っている70代の女性は、テレビを見ながらこのストレッチを習慣にしています。「薬を飲む回数が減って、朝が楽になった」と話してくれました。
温めてリラックスする習慣
筋肉が固まっているときは温めるのも有効です。冷えやストレスでこわばった筋肉がゆるみ、血流が改善します。
- 蒸しタオルをビニール袋に入れて首や肩に10分のせる
- ぬるめのお風呂に15分つかる
- 寝る前に温熱パッドでじんわり温める
高校野球部の選手で、毎晩シャワーだけだった子に「お風呂に入る習慣」を勧めたところ、頭痛の頻度が減った例もあります。疲労が抜けやすくなり、練習の質も上がりました。
栄養と休養も忘れない
頭痛改善には栄養と休養も欠かせません。
- 栄養:筋肉や神経の働きをサポートするビタミンB群(豚肉、魚、大豆)、マグネシウム(ナッツ、海藻)を意識する
- 水分:脱水は頭痛の大きな要因。水やお茶をこまめに摂る
- 睡眠:寝不足も寝すぎも頭痛の誘因。就寝・起床時間を整える
専門学校の授業で学生に「頭痛がある日は朝食を抜いていることが多い」と聞いたとき、やはり栄養不足と頭痛の関連性を再確認しました。
セルフチェックのすすめ
自分の頭痛パターンを把握するには、簡単な記録が有効です。
- 痛みが出た時間帯
- どの部位が痛いか
- その日の睡眠・食事・ストレス状況

接骨院の患者さんにも「頭痛ノート」を勧めています。記録することで「午後の会議のあと必ず痛む」「寝不足の日に出やすい」といった傾向が見えてきます。
また、筋緊張性頭痛の原因は首や肩のこりだけではありません。意外に見落とされやすいのが 歯の噛み合わせや食いしばり です。
強く噛みしめるクセがあると、側頭部にある「側頭筋」という筋肉が常に緊張状態になります。この筋肉はこめかみから耳の上あたりにかけて広がっており、ここが硬くなると締めつけられるような頭痛を引き起こすのです。
実際、私の接骨院に通う患者さんでも「日中に無意識に食いしばっていた」「寝ている間に歯ぎしりをしていた」という方が多く、顎の疲れやこめかみの張りを訴えています。マウスピースを使った歯科的アプローチや、顎をリラックスさせるストレッチを取り入れることで症状が軽くなった例もあります。
もし、肩こりや姿勢を改善しても頭痛が残る場合は、鏡の前で自分が強く噛みしめていないかチェックしてみてください。顎や側頭筋の緊張をほぐすことが、頭痛改善の大きな手がかりになるかもしれません。
受診を考えるべきサイン
セルフケアで対応できる頭痛もあれば、医療機関を受診すべきケースもあります。
- 今までにない強烈な痛みが突然出た
- 吐き気や視覚異常、しびれを伴う
- 頻度や強さが増してきている

こうした症状がある場合は、我慢せず整形外科や頭痛外来で相談してください。
まとめ
筋緊張性頭痛は「姿勢・呼吸・ストレッチ・温め・生活習慣」の改善で大きく変わります。薬に頼る前に、自分の体を整える方法を実践することが予防につながります。
私自身、接骨院や運動指導の現場で「頭痛が減った」と笑顔で話してくれる瞬間に何度も立ち会いました。小さな習慣の積み重ねが、日常を大きく変えるのです。
今日からできるセルフケアを、ぜひ試してみてください。
新潟市中央区長潟3-2-2 たかやま接骨院 高山 慶市
#筋緊張性頭痛 #肩こり頭痛 #慢性頭痛